金屋町は、江戸時代から続く鋳物のまちです。鋳物の「鋳」という文字を解体すると、ホテル名の「金ノ三寸」になることから言えるように、この土地とは切っても切り離せない関係です。情緒溢れるまちなみは、味わい深く、悠久の歴史を思わせます。
「金ノ三寸」にご宿泊されるなら、金屋町をのんびりおさんぽしてみませんか?
金屋町に向かう手段のひとつに、万葉線があります。お世辞にも早くて快適とは言えませんが、老若男女問わず地元の人々にも利用されています。万葉線は、ゆっくりと進んでいくので、まちをより近くに感じられます。目的地に近づくにつれ、楽しみな気持ちで早くなる鼓動が、がたんごとんと揺れる振動と同調していきます。
最寄り駅である「片原町駅」を下車し、金屋町に向かって歩いて行くと、金ぴかの鳳凰像が立つ「鳳鳴橋」に行き着きます。なんと立派な佇まいでしょう。ちなみに、橋の名前は、高岡の地名の由来と伝えられる詩経の一節「鳳凰鳴けり彼の高き岡に」から名付けられています。当時は、そう呼ばれるだけの荘厳さや気高さを持ち得たまちだったのでしょう。
さあ、この橋を越えたらもうすぐ金屋町のメイン通りです。
なんてことはない道が続き、どこに古き良きまちなみが現れるのかとそわそわしていると、突然、時代が変わったと錯覚してしまうような通りが現れます。金屋町を象徴する千本格子の家々が軒を連ね、石畳の道が遠くまで続いています。千本格子が規則的な配列によって構成されているのに対し、石畳はランダムに形を成しており、正反対な組み合わせがなんとも面白く感じられます。対照的であるはずのふたつのものですが、見事に融合しています。
眼福に浸っていると、もう一つの感覚が刺激されていることに気がつきます。耳に心地よく響く、風鈴の音です。それもひとつではなく、各軒先に吊された風鈴の音が何重奏にもなって聞えてきます。風鈴の音は、夏には涼しさを与えてくれますが、寒い時期の風鈴は、まちを彩っているように感じられました。一軒毎に違う意匠の風鈴を飾っているので、すべて見て回るのも楽しいかもしれませんよ。
一歩店内に入ると、風鈴がたくさん!全てを鳴らしたくなる衝動を抑え、自分のお気に入りを見つけます。お土産に買って帰って、おうちで思う存分鳴らすのもいいですね。気になるお店をひとつひとつ回っていたら、時間が経つのはあっという間です。工房で制作体験をなさる場合は特に、時間に余裕を持って行くと安心です。
通りを歩いていると、変わった像が所々で見られます。この少年像は、ボーリング選手か?と思っていたら、ボールに「MIKASA」の文字…バレーだったか。歴史ある荘厳なまちで、個性豊かな像が迎えてくれるのは少しおかしくて、ついほほえんでしまいます。確かな技術によってつくり出された茶目っ気が、とても愛らしいです。
ふと足元を見やると、銅板でつくられた側溝蓋が目に入ります。デザインも相まって格好良いのなんのって。基本はクロス掛けの模様ですが、少しの曲がり角があるときは、その形に添った型で間を埋めています。鋳物のまちの技術力が、細かな部分まで行き渡っています。
沢山の魅力が溢れているこのまちで、ひときわ存在感を放つ、ポスト。いつからその場所に立っているのか、赤茶けた体から想像を膨らませます…。想像しか出来ない過去のまちのことも、このポストは見てきたのかもしれません。
もうしばらく歩いていると、道は二手に分かれ、その間のスペースの公園にぶつかります。遊具などはありませんが、近所の子供たちの遊び場となったり、まちのイベントスペースになったりする欠かせない場所です。ここを右に進めば、「金ノ三寸」はすぐそこですよ。
金屋町は、歴史と伝統を残しつつ、新しさやキャッチーな魅力もある味わい深いまちです。一辺倒ではないまちの探検は、探れば探るほどおもしろいことが沢山待っています。せっかくの旅行先ですから、のんびりと、はたまた無邪気におさんぽを楽しんでみてはいかがでしょうか。
~おまけ~
猫発見!どこにいるか見つけられましたか?