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消えたブロンズ像
2026.3.10 up

ブロンズ像盗難

神社の屋根の銅版が盗難にあったと最近のニュースで言っていました。こんな悲しくショッキングなニュースを頻繁に耳にします。金属地金の高騰が引き起こす社会現象といっても過言ではないと思います。

昨年になりますがこのことに関連したことが金屋町にも起こりました。金屋町の石畳通りに設置されていた4体の高岡銅器のブロンズ像が盗まれました。鋳物の町を象徴すべく金屋町の石畳通りに面したお店の軒先にはお店の方の計らいでブロンズ像が設置されていました。金屋町を訪れる人にはなじみ深いランドマーク的な存在のものもあり、なくなった今ではそのスペースがひときわ広く寂しさを醸し出しています。

これらは窃盗の形態は異なりますが窃盗団はいわゆる金属地金としてブロンズ像や銅板を略奪して金属地金として売却し現金を稼ぐという同じ目的の犯行と考えられています。

詳細は分かりませんが想像するにそれら盗難品を受け入れる受け皿が存在しどうかすると犯罪をも仕切っているのかもしれません。

ブロンズ像製作

犯罪にあったブロンズ像は完成までには多くの人の手と月日を要します。高岡銅器のものつくりの特徴の一つである分業です。

そのスタートは原型士と呼ばれる彫塑家が粘土にて作りたいものと同じものを製作します。これがいわゆる原型です。この原型を金属に置き換えることを鋳造といいます。粘土の原型は強度がなく次の工程に入ることができません。そのため一旦粘土原型を石膏または樹脂に置き換えます。

この石膏または樹脂原型を上下2つに見切り外型を作成します。その外型に溶解した金属を流し込むことで樹脂原型が金属に置き換わります。

これで完成でなくここからは鋳造により出来上がったものを仕上げ士と呼ばれる職人がブラッシュアップしていきます。型と型の合わせ目から漏れた金属をきれいに仕上げたり金属の周りが悪いことから発生した不良の部分を再生したり等より完成度を高める作業を行います。

 最後は着色を施します。着色は見た目をよくすることも大きな目的ですが皮膜でブロンズ像を覆うことで保護するという役割も果たします。作業は着色職人と呼ばれる専門の職人が担います。基本的には経年により変化する状態を瞬時に実現させることとなります。それには永来に開発された技術やノウハウが活用され一部は高岡銅器だけが知りうる特殊なノウハウのものもあります。

高岡銅器に宿る魂

高岡銅器は小さい鋳物はジュエリーから大きい鋳物は大仏の類に至るまで広範囲なものつくりが可能でそれが高岡の中で完結できるということが大きな特徴です。製作するものにより細かなところで必要とされる技術が変わるので高岡で行われる金属加工は製作されるアイテムの数に応じた技術が存在します。そしてそのほとんどが分業により行われています。ブロンズ像はその代表的なもののひとつです。

ブロンズ像が盗難にあうということは理由が何であれあってはならないことですがその目的が地金としての転売ということになればそのブロンズ像を製作するに携わった多くの職人さんの努力は全く評価されずただの金属の塊としての価値だけが求められたこととなります。それが残念で仕方ありません。携わった人々の思い、美術的価値はこれら唯一無二の作品には計り知れないものがありリスペクトされるべきものです。

それら盗難にあったブロンズ像は金属の塊としての価値以上に多くの作り手の魂が宿るとても価値のあるものであることを声を大にして伝えたい。

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