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酒造所がウイスキー
2022.11.7 up

高岡市の隣砺波市には創業160年の老舗日本酒メーカーがあります。

この日本酒メーカーが最近は大掛かりな蒸留設備を作りウイスキーつくりに力を入れておられると聞き見学に行ってきました。

高岡から国道156号線(地元の人はこれをいちころ線と言っています)を岐阜方面に向かって走らせると20分ほどに油田交差点があります。ここを左に曲がると100メートルほど先左に「若鶴酒造」があります。ここが操業160年の老舗日本酒メーカでありウイスキーの蒸留所です。

門をくぐって最初にあるのが大正蔵です。聞くところによると若鶴酒造の建物は建てられた時代を反映してその時代の名前が付けられているそうです。大正蔵は土蔵つくりの外観で大正11年建築され越後杜氏による酒作りが行われていたそうです。木造切妻造りで柱の少ない大空間の中、若鶴酒造のお酒が試飲できたり購入もできる空間となっています。その隣は吹き抜けの大屋根を太い丸太の柱で支えられたコンサート会場のような設計の広い空間となっており多目的に使用されているそうです。ここで見学の受付を行います。見学はコマーシャルの一環とのことで無料でした。ウイスキーの試飲もできてお得感満載です。

受付とガイドさんのレクチャーの後、外に出てガイドさんとウイスキー蒸留所に向かいます。

大正蔵の隣には令和蔵があります。名前の通り令和になって建てられた若鶴酒造では一番新しい建物です。ここは富山の旬の食材とお酒を楽しんだり様々な体験ができる体験型の施設だそうです。また令和蔵内にある 竈flamme炭三郎は竈ご飯と燻製と発酵の技法を取り入れた和洋折衷料理が食べれるレストランや若鶴酒造のお酒と地元食材のマリアージュが楽しめるバーがあるそうです。ここは見学コースではないですが見学後に立ち寄ることもできるそうです。

令和蔵を左に歩いた先は大きくローマ字で「SABUROMARU」と書かれた白い建物が眼前に広がります。ここは蒸留したウイスキーを保存する場所だそうです。約1200樽のウイスキーが保存されているそうです。この中から超高値のウイスキーも産出されるのでしょうか。ワクワクします。

正面から見て左に白壁の瓦吹きのモダンな一見学校かと勘違いしそうな建物が勇壮にたたずんでいます。不二越軍事工場をここまで移築したそうです。ウイスキーはここで蒸留されています。若鶴酒造はなんとウイスキーを70年前から作っていたそうです。若鶴酒造2代目当主稲垣小太郎がその礎を築きました。戦後のコメ不足の中コメを使わないお酒としてウイスキーに目を付けたそうです。昭和27年に初のウイスキーが完成し戦後の復興と平和の思いを込めて「サンシャインウイスキー」と名前が付けられました。ところが翌年には蒸留所から火災が発生し全焼してしまいました。それでも地元の人々のおかげで半年かからず再建に成功し新たにウイスキーつくりをスタートさせたそうです。それから64年が過ぎた平成28年に「三郎丸蒸留所改修プロジェクト」を立ち上げ北陸唯一の蒸留所の新たな挑戦が始まったそうです。

早速、中に入っていきます。

入ってすぐ右側にウイスキーの原料となるモルト保存室があります。三郎丸蒸留所はスコットランドウイスキーを基本としており原材料は100パーセントスコットランドモルトだそうです。

見渡すと天井に猫が!作り物でした。ここでの一番の問題は鼠対策だそうです。猫を置いてお行くことで鼠が警戒して寄ってこなくするためのおまじないですね。かかしと同じ発想ですね。

左にはたくさんの樽が保管してあります。樽の役割は蒸留したウイスキーを保存しつつ樽の成分をウイスキーが吸収しより熟成させることにあるそうです。材料はシェリー樽、バーボン樽、オークなど様々な材料をしようしています。ウイスキーは熟成具合の出荷タイミングの判断は難しく若鶴酒造では5代目の稲垣貴彦さんが担っておられます。

三郎丸蒸留所は2階建てとなっておりウイスキーの製造工程が説明されています。若鶴酒造のこだわりを見てきましょう。

実際の製造現場と製造過程の説明するコーナーがあり緊張感があります。

若鶴酒造のウイスキーは大麦を使ったモルトウイスキーです。本場スコットランドから輸入しています。大麦の乾燥にはビートと呼ばれる泥炭を使うことで出来上がったウイスキーはスモーキーな風合いになるそうです。

このモルトに温水混ぜ合わせでんぷんを糖分に変え濾過します。

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麦汁に酵母を加え発酵させます。これで麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに変化します。3日でアルコール度数が7から8パーセントになります。

ウイスキー製作で最も重要な工程が蒸留です。これにはポットスチルと呼ばれる銅製の単式蒸留器を使うそうです。これでウイスキーの原酒を作ります。

若鶴酒造のポットスチルは高岡の伝統産業である高岡銅器の技術を使って製造されています。一般的には銅板を加工して作られるそうですが鋳造で製作することで銅板にはない厚みが蒸留効果を高めています。制作を手掛けたのは株式会社 老子製作所です。お寺にある梵鐘を製作する鋳造工場で日本にあるお寺の釣り鐘はその大半がここで製作されています。

地元産業の発展にも配慮されたウイスキー製作なんですね。ZEMONとなづけ

られた世界初のポットスチルは鋳造技術はもちろん高岡銅器の着色技術も使われており蓋の着色はオリイブルーで有名なモメンタルファクトリー-Oriiが手掛けています。

一回りした最後はかつて麹を育てていた室(むろ)を映像室に改修したところでその工程を映像でおさらいできます。これでかなり理解度が高まります。5代目が大変に駄洒落の好きな人らしくここの名前は室ジェクションマッピングとなっています。くすっと笑って見学を終えました。

見学コースがしっかりと整備されていてかつ案内されるスタッフさんもしっかりと勉強されていることが伝わる気持ちの良い見学の時間でした。

最後はまた大正蔵に戻りウイスキーの試飲とお買い物を楽しめます。

金ノ三寸のオプションにバーカウンターのご利用を設けてあります。お客様のリクエストがあったときは営業します。今は毎週土曜日隠れ家「kaneno3zun」として一般の方向けに営業もいたしております。

ここでは若鶴酒造のシングルモルトウイスキーを数本おいております。一番人気は若鶴酒造の看板ともいえる「十年明」です。スモーキーフレバーの本当においしい味に仕上がっています。このウイスキーの名前の由来は若鶴酒造の近くに十年明と呼ばれるところがありそこには明かりをともすための油を採取する花畑が広がっていました。そんな明かりのように人々の心をウイスキーでやさしく照らしたいという願いを込めてつけれたそうです。

お泊りの際にはぜひ味わってみてください。

ここを見学するだけでウイスキーのことがかなり詳しくなります。

金ノ三寸に泊まって翌日は若鶴酒造をご見学という旅のスタイルはいかがでしょうか。

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