民家ホテル「金ノ三寸」は富山県高岡市金屋町にあります。金屋町は今から約400年前加賀藩主2代目前田利長が7人の鋳物師を招聘し始まった高岡銅器の発祥の地です。
高岡駅から徒歩約20分で千保川にかかる鳳鳴橋両脇に設置された鳳凰像が見えてきます。鳳凰像に迎えられ橋を渡るとそこが金屋町です。さらに足を進め次の交差点を左に曲がると目の前にはタイムスリップしたかのような街並みが飛び込んできます。金屋町のメインストリートです。その特徴は①電信柱をなくし電線を地中に埋め込んであること(故に空を遮るものがなくなり空を広く見ることができます)。②通りに面したお家はさまのこという格子戸が連なっており古風で趣が保たれています(昔の家はいかに夏を快適に過ごすかを一番の課題として建てられたと聞いています。それだけ日本の夏は蒸し暑く過ごしにくかったということと寒さは対策できても暑さは当時の生活環境では凌げなかったということなんですね)③通りは一面石畳みの通りとなっており町並みと大変にマッチしており趣のある街並みの一助になっております(この石は福島県産の早渡[はやわた]という種類の石だそうです)実はこの石畳にはもっといろいろな仕掛けがあり普通に歩いているだけではわかりづらいんです。少し詳しくご紹介させていただきます。
- ところどころにハートが埋め込まれています。
気を付けて見ないと他の石と同化してしまいますがこの石畳みの通りには7個のハートが埋め込まれています。金屋町にとって7という数字は大変に意味のある数字なんです。現在は金屋町となっていますが以前はもっと細分化されており金屋町が上町、中町、本町、西町、東町、宮川町、古町の7町に分かれてました。金ノ三寸は旧町名金屋古町にあります。(実は校下も違っており金屋町には3つの校下が存在した時代もありました。)金屋町が一つの自治体になった今となっては昔の話ですが当時の名残をハートの数にして残したということになります。ここではどこにあるかには内緒にしておりますがヒントを一つ。タイトルをご覧ください。ハートフル金屋町は実は旧町名と掛詞となっております。その町内に密集しております。
金屋町を散策するときのモチベーションになると嬉しいです。
- 鋳物の町らしい仕掛けがされています。
先にご説明しましたが石畳に使われている石は福島県産の早渡という石を使ってあります。ところどころに茶色の違う素材のものが埋め込まれています。これは実は銅鋳物なんです。金屋町らしい通りにするための粋な仕掛けがされています。こんな通りは他にはないと思います。しかも形が統一されているのではなくバラバラです。多種類にすればするほど製作は大変になるその手間を惜しまなかったことも大いに自慢できます。
- 雪対策がされてます。
これはこの地域では普通のことでこの通りだけに限ったことではないのですが旅行客の方から意外と質問されます。「これは何ですか」と。
通りのセンターにほぼ等間隔にステンレスの丸い金属がはめこまれて周りに小さな穴が開いています。北陸は冬には雪が降ります。だから四季のはっきりした季節感あふれる地域なのですが雪は時には生活の邪魔になります。しかもこの地域の雪は湿気を多く含んだ雪のため除雪が大変です。そのため井戸水をくみ上げて撒き雪を溶かします。その装置がこれです。雪が降るとセンサーが反応して水が出る仕組みになっています。住んでる人にとっては当たり前ですがこれも大事な石畳通りの特徴だといえます。
石畳通りは金屋町を象徴する大切なコンテンツです。そこには地域、歴史、産業から導き出された仕掛けが施されています。それは単に物質的なことだけではなく人の心にも関係しているということがわかりました。金屋町は現在なお多くの人が生活する町です。さらにはこの町に住む皆様はとても親切でフレンドリーな方ばかりです。ハートフルは単に石畳にハートがたくさん埋め込まれているということだけではなくこの町の皆さんがハートフルなやさしさにあふれているといういうことでもあります。ふと訪れた地方の田舎町で出会った思いがけない発見は想像以上の感動を与えてくれるはずです。それも旅行の楽しみの一つではないでしょうか。金屋町のメインストリートである石畳通りにはそんな感動がたくさんハートフルに詰まっています。是非、お越しいただき石畳通りあるハートマーク等とハートフルな金屋町の皆様との出会いをお楽しみください。